ながやまで手打ち蕎麦(曳舟)
春頃から公園に面したフェンスに「蕎麦」と書かれた看板が出ていた。それに導かれるように路地をすすむと普通のマンションの1階に看板が出ている。
マンションに入るとオートロックのドアがあり、「101呼出を押してください」とある。インターホンから「いらっしゃいませ」と声が聞こえ、女将さんらしき方がドアを開けてくれた。
玄関があり、靴を脱いでスリッパにはきかえる。友人の家に遊びにきたかのような感覚である。入口には「江戸東京そばの会」「蕎麦マイスター合格証書」「日本酒ナビゲーター認定証」が飾ってあった。話を聞くと蕎麦打ちが趣味だったご主人が定年後に本格的に蕎麦を修業し、オープンさせたらしい。
もともとリビングであったであろう場所には4席テーブルが1つと2席テーブルが2つ置いてある。さらに奥にも一部屋あり半個室のようになっていた。マンションの一室をほとんどそのまま使用していることが見てとれる。
リビング手前にはガラス貼りになっている蕎麦打ち場もある。店内にはジャズが流れていたり、アルカリイオン水がおかれていたり、空間作りにも気を使っているようだ。
お昼のメニューはランチセット(1,000円)と単品のせいろがある。セットは2種類あり、天ぷらうとせいろのセットか、サラダ蕎麦を選べるようだ。夜はお酒も出しているようだが、閉店が20時と早いので使い方は限定されそう。
今回はせいろのセットをお願いした。蕎麦と天ぷらの他に小鉢とそば茶ご飯がついてくる。蕎麦とご飯をいっしょに食べるのははじめてかもしれない。
蕎麦は「常陸秋そば」を使用しているとのこと。石臼引きだそうで、蕎麦の風味はしっかりしている。麺線も均一で丁寧に作られているのを感じる。つゆはすっきりとしていて、少々辛い。少しだけつけて江戸前風にいただく。
天ぷらは塩でいただく。おくら、ナス、かぼちゃに海老天とボリュームがある。薄衣でさっくり揚がっており食べやすい。
食べ終わると蕎麦茶を持ってきてくれ、甘味も出てくる。蕎麦の寒天だそうだ。黒蜜とミルクでいただく。1,000円でこのボリュームであれば満足度は高い。変わった場所にあるので入るのは少し勇気がいるかもしれないが、とても良心的でおいしい店だと思う。
お会計をしようと後ろを見ると蕎麦味噌が100円で売られていたのでいただいて帰る。また舐めながら晩酌しよう。