一心庵で無篩い無玄そば(岡山県・真庭)
出雲にきたのに蕎麦屋に一軒しかいけていないことが心残りで、目的地へ向かう道中で蕎麦屋に寄ることにした。所在地としては岡山になっているので出雲そばではないのだけれど、この際そんなことは些末な話だ。蕎麦が食・べ・た・い・ん・で・す・!(地面を踏んづけて)
岡山県は真庭市というところにある。失礼ながらはじめて聞いた場所である。ここには十割蕎麦があり、「無篩い(むぶるい)無玄そば」(1,000円)というオリジナルの蕎麦があった。
メニューの説明によると
「蕎麦本来の風味を生かすため石臼にかけた蕎麦粉を篩(ふるい)に通さず粗挽きに製粉し、水だけで打ち上げております」
とある。
蕎麦粉も独自で仕入れているらしく、蕎麦に産地が添えられていた。今回は長野県産の「信濃一号」という品種が使われているそうだ。このあたりにもこだわりが感じられる。
やってきた蕎麦はテーブルに置かれた瞬間から香りが漂ってくるほどだ。極限まで粗挽きにしているという説明通り、見た目からゴツゴツとしている。箸でもってみると硬さがあることが伝わる。
少しだけつゆにつけていただくと、ガツンとそばの香りが鼻にやってくる。なんだろう、不思議な甘みがある。少し違うのだけれど小豆のような香りと味を感じた。
荒い食感があるのだが、蕎麦自体はつるっとしている。食べやすいかといわれればそうでもないのだが、蕎麦を味わいという意味ではこれが正解なのかと思わせられる説得力がある蕎麦である。喉越しもいいんですよね。
そしてまた蕎麦湯が抜群においしかった。とろっとしていて、つゆの出汁感を合わせると濃厚なおいしさが感じられる。
心残りだった蕎麦欲が溶けていくおいしい蕎麦だった。蕎麦のおいしさというのもまた難しいですね。