裸と笑いの殿堂 フランス座を語る会に行ってきた
浅草東洋館で行われた「裸と笑いの殿堂 フランス座を語る会」に行ってきたのでその感想など。
ここに掲載する写真は撮影OKのときに撮影したもののみです。
司会は西条昇氏。江戸川大学准教授でお笑い評論家。ちょくちょくテレビや雑誌に出てくる方。彼が集めているかつてのフランス座のポスターや記事などを紹介し、それぞれの時代のゲストが登場するといったイベントだった。
会場はほぼ満員という人気ぶり。観客の方もどこか雰囲気のある方が多く、過去の関係者も多かったのかもしれない。僕は端っこで見てました。
最初の登壇者はこの4名。左から写真家の谷口雅彦氏、司会の西条昇氏、そして女優の五月晴子さんと東洋興行会長の松倉久幸氏。
まずはストリップの歴史といった話から始まった。昭和22年に秦豊吉という人物が、新宿の帝都座でアメリカやフランスではやっていたストリップを持ち込んだのがはじまりという。額縁ショーという呼び名がついており、つまり裸婦像などの名画を実際の人間で再現する催しだったそうだ。第一回目は水着のようなものを着ていたそうだが、二回目からは裸になったと語っていた。
東洋興行会長の松倉久幸氏がいうには、額縁の中にいる女性が動くと警察が摘発すると事前に言われていたのだが、それじゃあおもしろくないと演じる女性に酒を飲ませ、勝手に動いたということにしたのが始まりだという。あいつは酒を飲んでいるから仕方ないということでその後もうやむやになったとか。ほんとかよ。ちなみに松倉久幸氏の父、松倉宇七氏がフランス座を作った人間である。
この後はなんと伝説のストリッパー浅草駒太夫さんのショーがはじまった。1曲目のみ写真撮影OKということで夢中で写真を撮った。
こりゃあすごかったです。この写真の1曲目はステキな舞を披露してくれて、そして曲がかわるたびに着物を少しずつはだけさせていくわけで、伝説のストリッパーというぐらいだからかなりのお年であることは分かりつつ、食い入るように見てしまった。4曲目あたりに舞台中央に行燈を置き、そこで局部を隠しながら、淫靡に踊る様は年齢を感じさせないくらいの美しさがあった。
一番前の席に座っていた人は光栄なことに駒太夫さんにちょいちょいと呼ばれ、着物で隠されながら局部を目の前で見ていた。もちろんその際はおひねりを渡すわけで。なんというか、すばらしいものを見させてもらったとしか言葉が出てこなかった。
すばらしいショーが終わったあとは少し時代が進み、1950年代の渥美清や三波伸介、東八郎といった喜劇人を語る。ゲストは青空球児、岸野猛と原田健二のナンセンス、浅草21世紀の真木淳。坂上二郎が全然台本を覚えないなどの懐かしいトークで笑いを誘っていた。
最後はビートきよし氏、サヴァビアンショーの演出、構成をしている中島洋子さんをゲストにビートたけしさんの当時の思い出などを語る。ビートきよし氏がおかまのダンサーと同棲したり、さらに他のダンサーとやんちゃをしたなどの暴露話をされていた。きよし氏はビートたけしさんが全然仕事に来ない、来ても酔っ払ってお客に絡むといった破天荒なエピソードを披露し、会場は爆笑に包まれていた。
会場は常に温かい笑いや声援に包まれていた。「よっ!」などの掛け声、テープが投げ入れられたりと、当時はこんな雰囲気だったんだろうなあと感じられる時間だった。出演者の年齢がほとんど80歳以上で、耳が遠くて会話が成り立たないといった場面も多々あったのだが、それはそれで笑いになっていた。ステキな空気を感じることができた2時間だった。
こんなイベントに行っておきながら、浅草ロック座にチャレンジしたことがないので、近々行ってみるつもりである。浅草の文化に触れる良い時間だった。