ハリッツでドーナツ(代々木上原)
いやあ、以前から行ってみたかったんです。そう思っていたらいつの間にか代々木上原駅にいて、そしてたまたま開店時間とちょうどだったからお店のほうへ向かってみることにした。
Google Mapsさんが指し示す細い路地を曲がってみるのだけれど民家しかない。本当にここにあるのかしらと不安になっていると、控えめな看板とメニュー表が目に入る。
おお、家だ。
ガラガラとドアを開ける。靴を脱ぐのかななんて一瞬思うけどそのまま入ると、すぐにカウンターがあり店員さんから「いらっしゃいませ」と声をかけてもらえる。中で食べられますかと尋ねると、だいじょうぶですよとにこやかに答えてくれた。
何か尋ねたわけではないのに「それですと焼きたてはいま……」と奥の方に確認をしてくれる。もともとプレーンを食べたいなと思っていたところ、ちょうどプレーンが焼きあがったところだったそうで、ではそれでとお願いする。あとアイスコーヒー。
奥の席に座って店内を眺める。普通の民家をリノベーションしたであろうスペースで、センスのいい家具で揃えられている。なんだろう。僕はここにいてもいいのだろうか。
しばらくすると男性の方がプレーンドーナツとアイスコーヒーをはこんできてくれた。
見た目は普通のドーナツ。粉糖がたっぷりかかっている。持ってみると感触がいままで食べたドーナツと違う。一口食べてみると持った感触そのままのふわっとした食感が味わえる。こりゃあすごい。
焼きたてだからというのももちろんあるとは思うが、ここまでふんわり感があって、しかも跳ね返してくるような弾力があるドーナツははじめてだ。
口の中に入れるともちもちっとした食感があり、さらに噛むとほんのりした甘さが感じられる。こんなにふわふわだから、すぐに飲みこんでしまうと思っていたのに、そんなことはなくてむしろ口の中に残って噛み締めるような生地になっている。
味自体は素朴で優しいものなのだけれど、この食感と合わさるととても斬新なもののように思える。いやあ、おいしい。なんて幸せな朝食だろう。
食べている間にもお客さんはひっきりなしにやってきていた。開店直後にきて正解だった。明日の朝も気が付いたら代々木上原駅にいるかもしれない。こわいな。