ぼたんで半チャーハンとラーメンセット(浅草)
浅草のいわゆる町中華というやつである。
昔ながらのお店があらたに再定義されるというのもおもしろい現象であるなと思う。数年前までは昔ながらのお店なんて、という気持ちが少なからずあったのだが、浅草のとある中華屋さんの天津飯がとてつもなくおいしかったことから気持ちを入れ替えて、昔ながらの中華には残っている理由があるのだという考え方に変わってきた。
こちらのお店はもともと甘味処からはじまり、昭和30年代から中華料理の提供をはじめたそうだ。すでに80年以上も続く歴史あるお店だ。代替わりしているかはわからないが、3代目も厨房で鍋をふるっていた。
14時前という中途半端な時間にもかかわらず店内はほぼ満席で、昼間からお酒を飲んでいる常連らしき方でにぎわっている。
カウンターに座り「Aセット」(850円)を注文。半チャーハンとラーメンのセットである。チキンライスかチャーハンを食べたかったのだが、セットと書いてあるとついそれにしたくなる。
ものの5分ほどでラーメンがやってきた。鶏ガラベースのいわゆる中華そばである。懐かしい味でほっとする。
麺は細麺で浅草開花楼製とのことだが、かなり柔らかめに茹でられていて、口の中でくちゃっとした食感が出ている。このあたりも懐かしい。
半チャーハンはどちらかというとしっとりしている。以前食べたものとちょっと違うなと感じるのは単純にブレだろうか。コンロの火力もあまり強そうではなかったので、作る人によって変わってしまうのかもしれない。
味付けはしっかりめで具材もたっぷり入っている。チャーハンとしてはおいしいし、ラーメンのスープと交互に食べるとより幸せな気持ちになる。
食べていると「青森がやってきたぜ~」と繰り返しアピールする紳士が来店した。注文はいつものやつ、いつもの、あれ、中華丼と言っていた。各地にファンがいる証拠だろう。ずっと続いてほしいお店である。