主に浅草で食べたものを記録していくよ

優柔不断な無職がかわいい猫についてや、食べたものについて書いています。


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町田康をまだ読んだことのない人へおすすめ3冊

僕の敬愛するパンクロッカーに町田町蔵がいるわけですが、町田町蔵というのはいわゆる町田康であり、現在では小説家、随筆家として有名です。明日、芥川賞が発表されるということで、芥川賞受賞作家である町田康が大好きな僕のおすすめ本を小説、随筆、その他に分けて1冊ずつ紹介したいと思います。

 

小説

パンク侍、斬られて候 (角川文庫)

パンク侍、斬られて候 (角川文庫)

 

芥川賞受賞作は「きれぎれ」ではありますが、そちらはやや取っ付きづらい作品だと個人的に感じます。そこで町田康入門には「パンク侍、斬られて候」がおすすめです。

ジャンルを分けるとすれば時代小説となるのですが、内容はもうめちゃくちゃでスピード感とテンポだけで突っ走る、まさにパンク。小説ってこんなのでいいんだ、と思うかもしれません。時代小説にもかかわらず、現代社会や意識高い系能無しサラリーマンへの強烈な風刺、毒。一歩間違えれば下品になりそうな文体を絶妙なバランスでエンタテインメントにしている一冊です。町田康を受け入れられるかどうかを計るリトマス紙のような作品だと思います。

 

以下、紹介文引用。

江戸時代、ある晴天の日、街道沿いの茶店に腰かけていた浪人は、そこにいた、盲目の娘を連れた巡礼の老人を、抜く手も見せずに太刀を振りかざし、ずば、と切り捨てた。居合わせた藩士に理由を問われたその浪人・掛十之進は、かの老人が「腹ふり党」の一員であり、この土地に恐るべき災厄をもたらすに違いないから事前にそれを防止した、と言うのだった…。圧倒的な才能で描かれる諧謔と風刺に満ちた傑作時代小説。

 

エッセイ

テースト・オブ・苦虫〈1〉 (中公文庫)

テースト・オブ・苦虫〈1〉 (中公文庫)

 

シリーズとしては8冊発売されているこの「テースト・オブ・苦虫」。町田康の日々の毒、怒り、苦虫の味が万遍なくふりかけられています。町田康の作品全般にありがちな思考の飛躍がこの本では顕著で、読み進めることに疲れるかもしれません。が、頭をからっぽにして読むといつの間にかゲラゲラ笑っています。これを読んだあとは自分の文章すら町田節が混ざってきて、無意識に「はは、おもろ」などと文末で世を憂いてしまうので注意が必要です。

 

猫にかまけて (講談社文庫)

猫にかまけて (講談社文庫)

 

これもエッセイではあるのですが、個人的にとても好きな作品なので紹介したいと思います。町田康が共に暮らしているたくさんの猫たちとの生活を描いた傑作です。

町田康はけっして猫と人間を区別することなく、あくまで対等な関係で表現しようとします。この作品の中の猫はよくしゃべります。きっとそれは町田康が猫と対等であるからこそ、猫の気持ちを理解して書くことができるのだと思います。猫が少しでも好きな方はきっと大笑いし、そしてたくさん泣くことになるはずです。

こちらは続編も出ており、3作目の「猫とあほんだら」では猫のために引っ越しまでするという町田康の苦労、移住騒動が描かれていて、彼の猫(犬もいます)への愛情の深さを思い知りました。超おすすめなので3作すべて読んでほしいです。

 

次に読むなら

断腸の思いで3作だけご紹介しました。今回紹介しませんでしたが、個人的に一番好きなのは「告白」という小説です。かなりボリュームのある作品なので最初の一冊にはおすすめしていないのですが、少しでも興味が出たらぜひ読んでほしいです。ちなみに僕は書店に並んでサイン本をゲットしたりしています。握手もしてもらったんですが、めちゃくちゃかっこよかったです。とんでもないミーハー野郎ですね。

 

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ではまた。