てんぷらで味覚おまかせ天丼(六本木)
六本木の坂を下っている途中、路地を一本入ったところ。
ごま油の匂いに誘われて天ぷら屋さんに入ってみる。いかにも老舗といった雰囲気がある。店内はほぼ満席で一席だけ空いていたカウンターに座らせてもらった。揚げるところが見える特等席だ。
お昼のメニューは天丼がメインだ。いくつか種類がある中から「おまかせ天丼」(1,600円)をいただくことにした。
目の前では白髪を後ろで結った職人風の方がどんどん天ぷらを揚げている。左手で粉をつけて、ぽいぽいと油に放り込み、右手に持った箸で取り出すという一連の作業を繰り返している。見ていて飽きない。
仕上げは別の方がやっているようだ。天ぷらあがったあたりで先に漬物と味噌汁がおかれる。程なくして丼が出てきた。ふっくらとした衣がついた、具材たっぷりの天丼だ。
ゴマ油のいい香りがする。ネットの情報によると玉絞めの一番搾りゴマ油と椿油を使っているらしい。なかなかに難しい一文。玉絞めってなんだ。と思って調べてみると、簡単にいえば手絞りに近い製法らしい。古いやり方で圧力が小さいために一度に取れる量が少なく、逆に風味が損なわれないということだ。ひとつ勉強になりましたね。
衣はふっくらしつつも薄めになっていて、そのかわりかタレが少ししょっぱい。衣がタレをそれほど含まない仕立てにしているのだろうか。キレのあるタレなので食べやすい。
具材は海老2本、かき揚げ、キス、玉子、さつまいも、ナスなどだったかしら。海老2本というのがいい。ケチケチして残しておかなくていいから。かき揚げもボリュームあっていい。ご飯とのバランスを気にせず、どんどん具材を食べられる。
半熟玉子の半熟具合がすばらしかった。卵の天ぷらはいいものだ。
思いがけずおいしいお店にあたった。下調べせず、匂いに誘われてみるのも悪くないな。