天想伝 楽で海老辛らーめん(末広町・秋葉原)
行く予定だったラーメン屋さんがまさかの長期休業中で、完全に途方に暮れてしまったある日。なんとなく油そばが食べたくなって、どこかに食べられるお店がないか調べてこちらのお店にやってきた。
看板を見るとつけ麺がウリのようだが、今日はそんなことは関係ない。食べたいものを食べるのだと券売機に向かう。海老辛油そばという邪道系のボタンを押す。これに惹かれたのだ。仕方ないだろう。
カウンターに座り、カタコトの外国人店員さんに食券を渡す。
「海老辛らーめん、ひとつー」
と厨房に伝える店員さん。
しばらくして、ふと気付く。あの店員さんラーメンと言っていなかったか。食券の読み間違えかしら。あれ、僕が間違えたのか。なんだか不安になってきた。しかし、もう厨房では作り始めているだろうし、いまから変更なんて迷惑なことはできない。これは祈るしかない。たのむー、油そばであってくれー。
という願いも虚しく、やってきたのはラーメンだった。
食券の購入ミスだったようだ。お店のウリのつけ麺を無視して食べたかった油そばを注文したつもりが、何の関係もないラーメンがやってくるだなんて。こんなに落ち込むことがあるだろうか。
落ち込んでいても仕方がない。気を取り直してラーメンを食べよう。
スープは鶏白湯に魚介のようだが、ラーメンだからかそれほどドロドロではなくさらっと飲める。上にのっているのが海老辛だろうか。少しずつ溶かしながら味を変えていただく。
つけ麺と油そばの麺は自家製だそうだが、ラーメンは大成食品製らしい。つるみのある中太麺だ。スープ自体の粘度が低いこともあって、スープ絡みはそれほどよくない。
海老辛をすべて溶かすとなかなか辛い。海老の風味がしっかり出ているので癖になるおいしさはありつつ、鶏魚介の濃厚さもあってお腹にずしんとくる。
チャーシューは豚と鶏の2種類。乾いた感じがあるので、しっかりとスープにつけていただく。特に鶏はもう少ししっとりとしていたほうが好みだ。
最後までおいしくいただいたが、注文ミスの落ち込みを取り返せないまま。完全に自分のせい。券売機はちゃんと見ましょう。