雷門三定で特製穴子天丼(浅草)
存在もかなり昔から知っていたのだけれど、やあ、なかなか行こうと思わなかった。だっていつも観光客でごった返しているし、なんならバスツアーに組み込まれている勢いで外国人がぞろぞろと入っていくのを見ていたから、そういう店なんだというイメージだった。
いま少し調べてみたらWikipediaにのってるんですね。すごくないですか。Wikipediaにのる天ぷら屋さん。それによると「1837年(天保8年)創業で、現存する日本最古の天ぷら屋」とのこと。「一に浅草、二に観音、三に三定の天ぷら」というキャッチコピーでお馴染みらしいが、めちゃくちゃ語呂悪くてちょっとおもしろかった。
そんな超老舗天ぷら屋さんの味を一度くらいは食べておきたいという興味から行ってみることにした。早めに入ったのですんなり座れたが、ランチタイムになるにつれてどんどん人が増える。半分くらいは外国の方だ。
注文は「特製穴子天丼」(2,700円)にした。店内は大混雑で待つことたっぷり30分。ようやく丼ではなくお重で天丼がやってきた。
蓋からはみだすボリューム感。あけてみると、まず最初の感想は「黒い」だった。
写真を見ていただいたみなさまも感想は「黒い」だと思う。江戸前天丼なのでゴマ油で揚げており、さらに醤油ベースの天つゆをどぶ漬けにしているため、全体的に黒くなっている。
具材は穴子、海老、蓮根、かき揚げとなっているが、見た目からはなかなか判別がつかない。とりあえずメインの穴子からいただく。衣はサクッとはしておらず、どちらかといえばしっとり。衣と具材はいっしょに食べるような仕立てになっていて、もぐもぐと咀嚼が必要。
タレをどぶ漬けにするのは吸油を少し抑える役割もあると思うのだが、かなり油感である。端的にいって油っこい。逆に言えば味を濃くすることで食べすすみをよくしようとしているのかもしれない。ご飯にはそれほどタレが染みていないので、それでバランスがとれている。
ボリューム満点でこの仕立てなので後半はかなりお腹の具合が厳しかった。しかし周囲を見るとみなさん満足そうに食べておられるので、観光地としての江戸前天丼の役割はしっかりとはたしているのだなと感じる。これが日本最古の天丼である。