らぁめん山と樹で味玉つけめん(高円寺)
家製麺と清湯醤油のクラシカルな味が楽しめるということで、以前からずっと行きたかった山と樹にようやく行くことができた。普段はなかなか足を踏み入れない高円寺という町。
バンドマンとサラリーマンがたくさんいる男の町というイメージがあったが、いざ駅を降りてみるとアイドルみたいな若い女性がたくさんすれ違ったし(ことごとくみんなマスクをしていたからもしかしたら本当のアイドルだったのかもしれない)、駅前の商店街ではファンキーなおじさんやおばさんがたくさん。なかなか懐の深い町なのだろう。
そんな駅からは少し離れた場所にお店はある。開店前に到着すると待ち客はなし。開店時間ぴったりに店主さんが出てきてにこやかに挨拶してくださった。
オーダーは醤油らぁめんも食べたかったが、心に決めていた「味玉つけめん」(980円)にした。カウンターの一番手前に座ってしばし待つ。
余談だがイスの脚が3本(?)しかなく、体重を後ろにかけたらそのまま転倒しかけたので、これを読まれている方は前傾姿勢を心がけると良いと思う。
そうこうしていると美しいつけめんがやってきた。麺は全粒粉入りの自家製麺で通常のラーメンのものよりは太めになっているらしい。茹でる前に手もみで縮れさせているそうだ。いかにも粘り気がありそうなビジュアルだ。
スープは思っていたよりも黒っぽい。
醤油と青ネギと鶏油が合わさってすばらしい香りを漂わせている。少しレンゲですくってすすると醤油といっしょに酸味がとびこんでくる。
さっそく麺をつけていただく。
キレのあるつけ汁の味と歯ごたえのある麺の食感がお互いぶつかり合うような印象を受ける。だが、これがおいしい。麺がかなり主張が強いので、スープも強くなるはずなのにどこかでバランスが取れている。酸味もあるし、甘味もある。
とにかく麺がおいしい。正直なところスープはすぐに冷めてしまうわけだが、これは仕方なくて、それでも麺の味で最後まで食べられる。
チャーシューは塊で入っていてこちらも主張が強い。味はがっつりと豚だが、肉自体は柔らかくて食べやすい。
味玉も良い具合の半熟で味は濃厚なはずだったのだが、なんだかマイルドに感じるほど麺とスープが強かった。
清湯系のつけ麺でこのレベルの高さはすばらしい。見た目はクラシカルだけれど味は全然そんなことはなくて、最先端の部類だと思う。ちょうど限定ラーメンがはじまった時期のようでそちらもおいしそうだったが、その前に通常のらぁめんを食べなければ。