沖味亭で泡盛(立石)
はじめて行ったのはもう12年前くらいになるだろうか。沖縄料理が好きな先輩に連れていってもらい、泡盛の古酒をがんがんに飲んでいた。おそらく貴重なお酒だったんだろうに店のおばちゃんは僕たちのような若造にもどんどん飲ませてくれて、毎日通っていたら古酒がすっかりなくなってしまって、申し訳なくて謝った記憶がある。
今回は数年ぶりの訪問。すでにそこそこ飲んで食べたあとだったので泡盛でも舐めさせてもらおうとお邪魔した。
店内に入ると座敷に座っていた方々のなかのひとりが「おにいさん、どこの人?」と聞いてきた。ある程度酔っ払っているようで、周囲の人が「よしなさいよ」ととめていたのだが、その方は「この店はどこの人にも優しいんだよ」と呂律のまわっていないしゃべり方で店のことをほめている。おじさん、僕もそれは知ってるよ。
とりあえず泡盛をいただくともずく酢がついてきた。
これだけで十分だなあと思っていたら、カウンターの目の前で鍋が煮込まれている。横にいたおじいさんが「それおいしいよ」と教えてくれるものだから、じゃあこれをひとつ。
メニューにものっていないからこれがなんなのかよくわからないまま食べた。骨付きの肉がいっしょに煮込まれていてダシがきいている。ほっとする味だ。
結局注文したのはこれだけ。あとは泡盛ともずくでお母さんたちとの会話を楽しんだ。
古酒をすっかり飲み干したあの頃の若造だとは気づいてもらえなかったが、そのほうがありがたかった。昔はたまに来てたんですよなんていって、あの頃を懐かしむ。あかんなあ、立石は。思い出ばかりだ。