高校のときに集団停学→退学コンボがあった話
僕が通っていた高校の校則が厳しかったのかどうかはよくわからない。毎朝、校舎の前で遅刻を取り締まる生活指導の先生がいて、遅刻をすると持ち物検査。タバコ、免許、携帯あたりが処罰対象で、3つすべてが揃うと一発停学。停学が累積3回で退学という学校だった。少なくとも緩くはないか。
そんな学校で事件が起きたのはある試験の日だった。隣のクラスの40人中37人(ぐらい)が停学になったのだ。
朝、学校に行くとすごいことになってるぞとの噂で持ち切りだった。隣のクラスに見物にいくと、本当に3人しか教室にいなくて、そしてその3人はクラスの中でもヒエラルキーが低いグループ。いったい何が起きたのか。
集団カンニングだった。
集団カンニングによる停学者は50名以上にものぼった
ではどうやって集団でカンニングを行ったのか。テスト中に答えを教えあっていたということではない。彼らははじめから答えを知っていた。
テストを盗んだのだ。
事の顛末は首謀者であるやんちゃグループが数名で早朝の職員室に忍び込み、英語のテストを盗んだ。そしてそれを自分のクラス、そして仲の良い他クラスの人間にまわしたのだった。
そいつらがバカだったのは全員が90点以上を連発したらしい。英語のテストはいつも難しく、だいたい平均点60点代だった。それなのにそのクラスの平均点は80点を超えていたらしい。やんちゃグループは基本的にテストの点数はよくないのに高得点ばかりを出してしまったものだから、どういう尋問があったのかしらないが最終的にはバレてしまったようだ。アホ過ぎる。
結果として、テストを見なかった数名以外はクラスほぼ全員が停学。そして、最終的には首謀者グループ10名ほどが退学という大惨事となってこの事件は、その他全員の胸に「アホだ」という想いだけを残して急速に忘れられていった。
それから数か月後、退学になった一人と街で偶然出くわしたことがあった。そいつは僕に「おう、ひさしぶり」と元気そうに声をかけてきて、
「いまの学校、自由で楽しいわ。退学になってよかったわ」
と言っていた。
僕は「へえ、それはよかった」とだけ言って、すぐに別れた。彼はいま退学を恥じているのだろうか。知る由もないし、興味もない。
僕からは以上です。
ではまた。