主に浅草で食べたものを記録していくよ

優柔不断な無職がかわいい猫についてや、食べたものについて書いています。


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ラーメン屋で母親とおっさんがケンカしていた話

過日、昼飯にラーメン屋へ行った。そこはカウンターが10席ほどしかない店で、僕が入店するとちょうどひとつだけ空席があった。これはラッキーと僕は食券を購入し、カウンターのど真ん中の空席に座った。程なくして一組の夫婦がベビーカーを引いてはいってきた。満席なのでその夫婦は食券だけ購入し、壁際で席が空くのを待っているようだった。

しばらくするとベビーカーの中にいた子どもが「あっあー」などの子ども特有の意味不明な言語を発声しはじめた。なかなかご機嫌なようで、「あっあー」だけではなく、「おっおー」や「うっうー」というア行、さらには「おっほー」というア行とハ行を組み合わせた複雑な言葉まで発しはじめた。

 

正直なところ、かなりうるさい。

しかしながら夫婦は特に子どもに注意するでもなく、どちらかというと子どもがご機嫌なことに気を良くして、ベビーカーを揺らすなどして発声を促しているような感じだった。

僕は居心地が悪くなりできれば早めに退散したいなあと、急ぎ目で麺をすすっていた。周囲の客もそう思っていたのかはわからないが、僕の左側にいた2人の客が足早に店を出て、そこに夫婦が着席。ベビーカーは壁際に置いたままだ。相変わらず子どもは奇声を発し続けている。

さて夫婦がカウンターに食券を置いた瞬間、僕の右側からおっさんの静かな声が響いた。

 

「うるせえ」

 

ああ、ついに。おっさんは続ける。

 

「子ども、黙らせろ」

 

穏やかだが迫力のある物言いだ。店内は一瞬にして緊張に包まれる。全員が固唾をのんで夫婦の反応を待っていた。

 

「ああ?」

 

ドスのきいた声で反応したのは母親のほうだった。

 

「うるせえってのはうちの子どもに言ってんのか?」

 

こちらも穏やかだがかなり迫力がある。

 

「うるせえからうるせえって言ってんだろうが」

「子どもはうるせえもんだろうが」

 

一触即発である。ちなみにお父さんのほうはまったく言葉を発さない。

 

「子どもとか関係ねえだろ。人の迷惑を考えろ」

「子どもなんだから仕方ねえだろ」

 

ダメだ。これ絶対解決しないやつだ。静かに怒っていたおっさんもついにキレてしまったようで声を荒げる。

 

「子どもだろうがなんだろうが親なんだから公共の場所では静かにさせろ。少なくともその努力をしろ。それができねえんだったらラーメン屋なんかくるな!」

 

「子どもがいたらラーメン屋きちゃいけねえっていうのかよ。おまえみたいな心の狭い人間がいるから、みんな子どもを作る気がなくなって少子化になるんだよ!」

 

「そんなこと言ってねえだろうが。ちゃんと子どもの躾ができないんだったら外に連れ出すな!」

 

「子ども産んだらなんにもしちゃいけねえのかよ!こっちは子どものために酒もタバコも我慢してんだ!ラーメンぐらい食べたっていいだろうが!」

 

「ラーメン食いたかったら食えばいいだろう。ちゃんと躾しろよって言ってるだけだろうが!」

 

「母親は酒もタバコもダメで、そのうえラーメンもダメなのかよ!なんにもできねえよ!母親はなにもかもガマンして生きていかなきゃいけねえのかよ!これが日本の社会なのかよ!」

 

かなりスケールの大きな話になってきた。あまり会話が成立していない。おそらくこのまま口論を続けても平行線であろう。しかし、その後の店員さんの一言がこのケンカの方向性を変える。

 

「はい、生中2つおまち」

 

日常でこんなにフリのきいたオチを見られるとは思わなかった。良いもの見たなと僕は爽やかな気持ちで店を出た。あとのことはしらん。

 

ではまた。