天ぷら さいとうで神田定食(神田)
外食における天ぷらは高級料理というイメージがある。揚げおきをすると途端に質が落ちてしまうという料理の性質上、揚げたてを提供しなければならないという提供側のハードルが高いからだと思われる。そこに目をつけて気軽に食べられる天ぷらをコンセプトにするのは差別化の自然な流れだと思う。少し前から増えてきた天ぷらバルは今後どのくらい生き残るのだろうか。
こちらのお店は30分飲み放題を500円に設定したい天ぷら居酒屋業態となっている。もちろん揚げたてを食べられるのがウリだ。毎月10日は天ぷらの日で、食べ飲み放題が2,500円になるということで一時期話題になった。今回はランチで行ってみることにした。
コの字型のカウンターに座る。中に揚げ場があって、目の前ではないが見えるところで揚げてくれる。注文したのは具材のバランスがよさそうな「神田定食」(980円)。
まず大根おろしが入った器がおかれる。卓上のポットに天つゆが入っていて、自ら注ぐスタイル。それからご飯と味噌汁がおかれた。
第一陣としてはかぼちゃ、玉ねぎ、ちくわ、きんぴらのかき揚げの4種がやってきた。基本的に薄衣になっている。パクパク食べられるようにしているのだろう。あまり多すぎると胃もたれしてしまうからかもしれない。
きんぴらのかき揚げが意外とおいしい。味がしっかりついていてお酒と合わせるといいんじゃないか。
食べ方としてはおろし天つゆか塩。天ぷらに合わせて選べるのがうれしいところ。
続いて鶏せせり、厚焼きたまご、とりムネ、えびの4種がやってきて計8品となっている。後半はがっつりした具材がメインだ。
薄衣ゆえに海老天は衣がはがれてしまっているが、このあたりは仕方がないところなのだろう。軽くてさっくり食べられる天ぷらという意味では十分なクオリティだ。
天ぷらはご飯を食べにくいという欠点も、卓上の漬物と塩からが食べ放題ということでカバーされている。かなり考えられたお店だと思う。食べ終わると十分にお腹いっぱいになっていた。
天ぷらの日は予約がとれないほどの人気店となっているようだ。類似業態が少ないということで物珍しさもあると思うが、システムや品質もしっかりしているから一定の人気は続きそうだ。多少の胃もたれは厭わない年齢の方にはよいと思う。