うを徳で寿司(東向島)
どうしても行きたかった「うを徳」さん。たまのご褒美に予約の電話をかけたら、土曜日なら一か月半後になるとのこと。待ちます。待ちます。むしろ一か月半も楽しみにできるなんて幸せなことじゃあないか。
当日なんて楽しみでじっとしていられなくてフラフラ出歩いちゃったりなんかして。予約の時間ぴったりにお店の前に到着。外観は普通の一軒家という感じ。がらりとドアを開け、店主さんに予約名を伝えるとカウンター奥に案内された。
おまかせと伝え、まずは瓶ビールをいただく。すぐさまつまみの稚鮎と枝豆が出てくる。ああ、ここから待ちに待った幸せな時間がスタートするのかと思うと手が震えてしまう。
「賀茂茄子と蒸し鮑」は勝浦鮑を使っているとのこと。こんな序盤から鮑が出てくるなんて、こんな贅沢でいいのかしら。
続いて「鰹の藁焼き」。鰹は那智勝浦のものでニンニク醤油でいただく。
お造りは「北海道バフンウニと淡路島の星鰈」。どちらも超高級食材である。おいしい雲丹の味を忘れていたけれど、こんなに甘いものだったのだなと思う。星鰈は歯応えがあって、たまらなくおいしい。
焼き物に「静岡県稲取の金目鯛」。ここで日本酒にチェンジ。
そうめん南瓜こと金糸瓜を文字通りそうめんのようにいただいて口直しをしたあとは、「児島湾のうなぎ」が白飯にのってやってきた。噂に聞いたことがある青鰻というやつだろうか。こんなの食べてよいのか躊躇するほどにおいしい。
握りの前の椀物として「秋田のじゅんさいと鳴門のわかめの味噌汁」がやってきた。白味噌ベースという少し変わったお味噌汁だ。関西風なのだろうか。
さあ、いよいよ握りである。もう名残惜しい気持ちが出てきてしまっているが、あとはしっかり味わって食べよう。
この日の握りは「羅臼のときしらず」
「境港の中トロ」
「行徳の小肌」
「三重県のあいなめ」
「大トロ」
「アオリイカ」
「淡路島の胡麻鯖」
「瀬戸内の平貝」
そして最後に「鮪の赤身」という流れだった。
寿司の評価をできるほど食べているわけではないが、目の前で繰り広げられる店主の丁寧な仕事を見られるのは贅沢な時間だ。想像していたよりも強めに握っているようだったが、いざ食べてみると口の中ではらはらと崩れるシャリと、ネタとの一体感に感動しっぱなしだった。
最後のデザートは「熊本の小玉スイカ、宮崎のマンゴー、台湾のライチ」。今年はじめてのスイカ。そして濃厚な宮崎マンゴー。爽やかなライチで締め。
気付けば3時間半も経っている。こんなにゆっくりとおいしいものを食べ続けるなんてはじめての経験で、こんなに幸せな食事があるだろうかと思う。若いころに銀座ではじめて寿司を食べたときもここまでの感動はなかった。
最後まで店主さんの心遣いを感じながら店を出た。頻繁には来れないだろうけれど、またいつか伺いたいと思う。