麺や金座で焼き鰆の中華そば(人形町)
この日は春なのにとても寒い日だった。遠くから聞こえてくる「新しいラーメン食べましょう!温かいラーメン食べましょう」の声。おそらく日本人ではなないだろうイントネーションだが、とにかく元気だ。
声の聞こえる方を振り返るとひとりの女性がいる。ふらふらと引き寄せられるように進むとラーメンの新店のようだった。
女性と目が合う。あ、じゃあ、一名で。外にある券売機で食券を購入。
「両替しましょうか?」
あ、いえ、千円あります。
特製焼き鰆の中華そば(1,000円)を注文。醤油と塩があるようだったが、特に聞いてくれるわけでもないようで醤油になっていた。
なんとなく入ったラーメン屋だったが鰆スープは初めてだから期待が高まる。意外と早く5分ほどでラーメンがやってきた。
見た目は普通の淡麗系中華そば。
魚介風味は香るがこれが鰆の香りなのかは勉強不足で判断がつかなかった。それでも鼻に抜ける魚介系煮干しは心地よく、レンゲがすすむ。
麺はやや柔らかい中細ストレート。スープの風味を味わうのであれば分かりやすい麺ではあったが、個人的にはもう少し硬めが好み。
チャーシューは2種類で豚と鶏。鶏ハムのほうが少し味気なかったのが気になったが、豚は肉感があっておいしい。
味玉もちょうどよい半熟具合だ。
店内のPOPを見ると鰆の稚魚であればサゴシという魚で出汁をとっているようだ。 魚介風味は濃厚でおいしかった。
お店の外ではまだあの女性が「新しいラーメン食べましょうね!」と客引きをしている。寒いのに積極的に呼び込みをする姿勢はすばらしい。
帰り際、「ラーメンどうでした?」と心配そうな顔で聞かれたので、「とてもおいしかったですよ」と伝えた。彼女がどういう立場の人かは知らないが、アットホームなお店なんだなと感じた。