わき水で蕎麦三昧(福島県・郡山)
福島県に行く目的の半分くらいを占めていたこちらのお店に振られたのが初日。最終日になってやはり諦めきれずに強引に郡山へ行くことにした。
反省をふまえて朝に電話をすると今日は通常営業とのこと。
開店の10分前に到着すると既に開店していて先客は2組いる。お店は自宅を改装したようで、というかほぼ家で、おばあちゃんの家のような懐かしい匂いがする。
居間にテーブルが5つ。中央にストーブがあって待ち客はそこで体育座りで待つ形式のようだ。5席はあっという間に埋まってしまったので開店前についてよかった。
元教師の店主さんが定年後にはじめられたということらしい。お客さんをたくさん捌くというタイプのお店ではなく、一組ずつ丁寧におそばを作ってくれる。だから注文を聞かれたのは席について20分後のことだった。
いろいろなおそばが食べたかったのでコース料理のそば味覚(1,700円)を注文。こちらは梅おろしそば、もりそば、そばがきがセットになっている。
そしてここからまた20分ほど待つことになる。店主さんは自らでおそばを運び、食べ方をひとつずつ説明されている。こんな丁寧なお店はじめてだ。これだけ待っても心はほっこりする。
これは待っているときに出してくれた揚げそば。
入店して40分経って梅おろしそばがやってきた。
こちらはつゆを全部入れてよく混ぜて食べてください、食べ終わったあとはそば茶を入れて楽しんでくださいと説明された。その通り、つゆを入れ紀州梅をぐにぐにとつぶす。
そして待望のおそばを一口すする。これはおいしい。そばの香りはしっかりするし、歯ごたえがあるので喉ごしもいい。そんな小難しい感想は抜きにして単純においしい。南高梅が適度に甘くてそばにめちゃくちゃ合う。こりゃあうまい。
コースだからこのそばおそらく半人前くらいの量なのだろうが、もっと食べたいぞーとなる。あっという間に食べてしまって悲しい気持ちになるなど。
口直しに山菜の天ぷらをいただくのでそれをかじりながら次をまつ。
しばらくして今度はもりそばがやってきた。
こちらも食べ方が独特だった。まずはモンゴル岩塩でそばの味を楽しむ。他に辛い大根おろしの汁と普通の大根おろしの汁がついており、まずはそれにつけていただくようだ。それからその汁につゆを混ぜて好きなほうで食べてくださいとのこと。店主さんのこだわりが伝わる。
きっと店主さんは無類の蕎麦好きなのだろう。趣味が高じてはじめた商売だからお客さんにも純粋に自分がおいしいと思う食べ方をおすすめしているのだろうと想像する。素直な気持ちでいただくそばのうまいことよ。
最後はそばがき。
こちらは十年味噌とおろしつゆでいただく。最後に汁物をいただくように温かいそばがきがうれしい。
味噌で食べると甘みがあって、おろしつゆだとまたそばのおいしさを味わえる。
これで終わりかと思うと名残惜しかったが、待ち客はどんどん増えてきたし、イレギュラーの寄り道だったので帰る時間が迫っている。ごちそうさまと手を合わせてお会計。
店主さんに東京から来たと伝えるとそれはそれはと驚いていた。無理をしてでも来てよかった。おいしさの中にはいろいろな要因があるとは思うけれど、僕にとっては間違いなくおいしいおそばだった。
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