波で思い出話(立石)
ここに来れば誰かいる場所だったし、いまもそうだ。
ひさしぶりに寄ってみたらちゃんと知り合いがいて、ひさしぶりーなんて言ってお酒をおごってもらえる。
誰もいなければ先輩のボトルをいただく。お腹が減ったら焼きそばを作ってもらう。いくらでも思い出がでてくる。
眞露の水割りで乾杯。そこから昔話をしたり、カラオケをしたり。昔の上司がここが大好きで飲み会があると必ず最後はここだった。そんな上司も3年前くらいに亡くなった。
香港人の同僚と来たときは酔っ払った彼女が急に泣き出してどうしたんだと聞くと「私はこれからどうしたらいいんだ」と繰り返すから、「君は最高の友人だよ」なんていうこっぱずかしいことをいって慰めたりした。
そんな寂しいことや恥ずかしいことがたくさん詰まったお店。なぜだか立ち寄ってしまう。不思議だ。
立石は駅前の再開発がはじまっていてこの店のある「呑んべ横丁」周辺も立ち退きがはじまっている。この店もいずれはなくなってしまうのだろうか。なんつうセンチメンタリズム。そんなことは気にせず立石にきたら最後はここにくればいいのである。
ドアを開ければ懐かしい人が必ずそこにいる。そんな貴重な場所はここくらいしかないな。