王将は小汚くあるべきなんじゃないか
腹減ったなあと町を歩いていたら小奇麗なカフェのようなお店があった。いったいなんだろうと表にまわるとでかでかと「王将」の文字が。王将かあ。王将。王将なのかこれ。とちょっと時間がとまった。気になったから入ってみる。
入口にはガラス張りの待合室みたいなものがあってウェイティング表がおいてある。並ぶのか。とりあえず名前を書いてみる。が、店内を見ると席は空いているように見える。座っている家族が待ち時間の長さにめちゃくちゃキレている。
ひとり呼ばれて席に案内された。するとおっさんが順番をとばされたみたいで店員に詰め寄っていく。
「俺の方が先に名前書いてただろ!」
バイトのミスだったらしく社員らしき人が平謝りして、そのおっさんを案内していた。そのあと社員さんらしき人が「ダメだよー、バイトちゃん」と軽く注意しながらじゃれていた。僕も案内してほしい。
あれ、王将ってこんなんだったっけ。コーテルリャンガー!ソーハンイー!みたいな謎の言葉が飛び交っていて、瓶ビールでひたすら油と餃子を胃に流し込む店じゃなかったっけ。
油でペタペタする床と謎の飲み会をしているおばちゃん集団に絡まれて一杯おごってもらう、みたいな場所だと思っていた。サラリーマンはカウンターで相席は基本じゃなかったのか。
ようやく案内されて炒飯セットを食べていたのだけれど、鳴りやまない呼び出し音と店員を怒鳴る家族連れ、忙しさからかミスを連発する店員さんたちで地獄みたいになっていた。
小奇麗でスマートにご飯が食べられるかと思ったんだけど、現実はそうではなかった。むしろ油まみれの店のほうがずっと平和だった。小売業の難しさを知る。