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ドッチツカズ

優柔不断な無職がかわいい猫についてや、食べたものについて書いています。


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小学校の頃、クラスのほとんどの生徒が先生にぶん殴られた話をします。

いま考えると小学校の雰囲気ってすごく独特だったなあと感じるわけで、覚えているエピソードも割と強烈だったりする。先生も変わった人が多かったと思う。小学生を30~40人まとめなきゃいけないんだから、そりゃあ大変だろうけれど、狂ったように怒る先生とかたくさんいた。

 

いまでも鮮明に覚えている出来事がある。

 

その日は遠足だったのだけれど、朝起きるとはっきりしない空模様で、小雨が降ってはやむという、僕たち生徒からしたらヤキモキする天気だった。遠足中止の連絡はなかったので、僕はお弁当をおやつを詰めたリュックを持って登校した。しかし学校へ着く頃にはポツポツと雨が降り出していて、運動場がぬかるみはじめていた。

 

微かな希望をもって教室に入ったのだけれど、情報の早いやつが中止という情報を触れ回っていて、みんながっかりした表情していた。しばらくすると先生がやってきて正式に中止を発表し、授業を行うと宣告したものだからみんなの表情は冴えなかった。

 

それに先生は気を悪くしたのかこんなことを言い出した。

 

「みんな、おやつを出してください」

 

きょとんとまわりを見回す僕たち。先生が再度、そして少し大き目の声で「出しなさい!」と言う。みんなはノロノロと前日に駄菓子屋で悩みに悩んで買った150円分のお菓子が詰まった袋を取り出し、机の上においた。

 

そのときみんなは取り上げるられるのではないかと不安だったんだと思う。しかし先生の意図は違った。

 

一番前に座っていた男の子のお菓子袋を開け、中のお菓子並べだしたのだ。そしてそのお菓子の値段を声に出しながら計算をしはじめる。

 

「これは10円、これは20円、これは40円ね」

 

と男の子に確認しながら続ける。

 

「で、これが30円。合計150円ね。で、これは?」

 

先生が最後に尋ねたのは小さな飴だった。僕たちが通っていた駄菓子屋では、店主のおじさんが遠足の日だけおまけで飴をつけてくれるのが恒例になっていたのだ。だからみんなのお菓子袋には150円分の駄菓子と飴が一つはいっていた。

 

聞かれた男の子は駄菓子屋の店主からおまけにもらった飴であることを先生に説明した。それをフンフンと頷きながら聞いていた先生は、一呼吸おいてから、

 

バシンッ!

 

と男の子の頬を殴った。

 

そして先生はそのまま隣の席の女の子のお菓子袋を開け始めた。殴られた男の子は放心状態で、そしていまお菓子袋をあけられている女の子は恐怖に震えだした。当然、その子のお菓子袋にもおまけの飴がはいっている。

 

値段を数え終わった先生がまた女の子に聞いた。

 

「これは?」

 

女の子は恐怖のあまり答えられなかったのだろう。何も言えず、黙って下を向いていた。

 

バシンッ!

 

先生は何も言わず女の子を平手で殴り、さらに隣の席にゆっくりと。

 

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あの時の教室中に蔓延する恐怖の感情はいまだに忘れられない。あれはいったい何だったんだろう。おやつの予算は150円で、飴が入っているから予算オーバーだということなのは、まあ分かる。厳密にはルール違反を犯している。しかし、それを一つずつ計算して、一人ずつ殴っていくという行為の目的がいまだによくわからない。

 

小学校の頃はそういう理不尽なことがたくさんあったし、それを諦めたり受け入れなきゃいけないってことを植え付けられた。そんな時代だったのだろうか。いまの小学校ってどうなってるんだろう。こんなにぶん殴られてんのに僕たちの親が誰も先生に抗議をしなかったんだから、不思議な時代だったなあと思う。

 

ではまた。